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 U20サモア代表 6-16 U20フランス代表(5-8位決定1回戦/2009年6月17日(水) at福岡・レベルファイブスタジアム)
 第1試合の興奮も冷めやらぬなか、続いての第2試合。サモアンハカを披露し戦闘モードONのサモア代表に対し、肩を組み静かに睨みをきかすフランス代表の威圧感。これまた世界の好ゲームの予感に心躍る観客席。そしてまず観客の度肝を抜いたのは、フランスの巨人たちによる「走るモール」。
 「これは対応できないだろう」というパワーを魅せつけられた観客の悲鳴に近い声と、キックオフ直後から面食らうサモア。
 圧倒的圧力で敵陣に攻め入るフランス、仕方なく反則で止めるサモア。
 早々と敵陣ゴール前、フランスはクレバーにショット選択し、ファーストスコア。
 >>>前半4分 フランス
 敵陣正面22mライン外側から、#10ボッシュ PG成功 (サモア0-3フランス)
 しかし、まだまだ。サモアも積極果敢に走りまわる。少々のプレッシャーは関係ないという思い切りと気持ちの良いサモアのアタック。ボールを持てば前進できる能力の高さ。こちらも敵陣でもらう反則を、負けじとPGで追撃。>>>前半6分 サモア
 敵陣正面22m付近から、#15ラウララ PG成功 (サモア3-3フランス)
 順位決定戦、ひとつでも高順位を狙う"必勝体制"の想いがあるのか、戦前に予想した乱打戦とは裏腹に、手堅くPGを狙う運びの序盤戦。>>>前半8分 フランス
 敵陣正面22mライン付近から、#10ボッシュ PG成功 (サモア3-6フランス)
 いや、どうやら違う。手堅いのは両者のディフェンスが凄まじいことの表れ。当たる側、タックルする側のプレーヤーがお互いに弾け飛ぶような気迫のヒット。まさに国の威信をかけた世界戦を観ている。しかし、そのガチンコの殻を破ったのは、やはりフランスの巨人たち。走るモールで密集に敵を集め、抜群の機をもって外へ発砲するという「お家芸」を魅せたフランスが最初のトライ。
 >>>前半19分 フランス
 敵陣左中間ゴール前ラックから左へ展開、ショートサイドを走りこんだ#8ラパンドリが突破しトライ。
 #10ボッシュ コンバージョン成功 (サモア3-13フランス)
 しかし、おそらく1つや2つの被トライで落胆しないであろうサモアの怪人たち。すべてのアタックが、なりふり構わないトップスピード、かつトリッキーで思い切りが良い。語弊があるかもしれないが、「純正ラグビー」には対応する能力に長けているであろうフランスが、攻守において異常に焦っているように映る。そしてフランスが犯す反則に、心理の裏をつくように「手堅く」PGを狙うサモア。
 >>>前半27分 サモア
 敵陣左中間22m付近から、#15ラウララ PG成功 (サモア6-13フランス)
 本当に危機感漂うフランス、引き離したい時間帯でペナルティー獲得、迷わず狙う。>>>前半34分 フランス
 敵陣右中間22mライン付近から、#10ボッシュ PG成功 (サモア6-16フランス)
 このまま前半終了。スコアは、(サモア6-16フランス)。
 辺りもすっかり暗くなり、レベルファイブスタジアムの屋根に並ぶ流線型の照明群が美しくフィールドを照らす。その光線に照らされる先には、前半戦からの苛立ちと消耗をどこか隠せないフランスと、今からゲームを始めるかのようなサモアが対峙する。 前半戦同様、フランスの怒涛の勢いは変わらず。しかしうまくかわしていくサモア。そして、激しく攻守が入れ替わる幾度のフェーズを止めるのは、お互いの「ハンドリングエラー」。はたして、両者を通じて何回のノックオンがあっただろうか。
 いやはや、単純なノックオンではない。防御側のプレッシャーが生み出すノックオンがあきらかに多い。そのたびに何度も組まれる大男たちのスクラム。いつもよりも消耗しているだろう。
 展開するやいなや、瞬間的に、もう目前に迫るタックラーと二の矢、三の矢。アタック側も攻め手がなくなり、キックパス多用に走るありさま。生身で激しくぶつかり合う鈍い衝撃音とともに、弾け飛ぶ人間同士とラグビーボール。この、録画を繰り返し放映するような展開で過ごす後半の40分間。お互いの意地と意地がぶつかり合う展開に、とうとう後半はスコアレスドロー。前半のスコアのままノーサイド。試合終了。最終スコアは、(サモア6-16フランス)。
 最後まで見守った大勢の観客たちは、試合中の「ハラハラドキドキ」のため息と、試合後の「もっと観たい!」のため息を何度もつきながら、フィールドの死力を尽くした選手たちへあたたかい拍手を送った。今日のような熱いゲームを、再びこの福岡で観戦できることを確信してスタジアムを後にする。
 
 
 U20サモア代表
 ヴィンセント・メレイセア監督
 「勝てばチームランキングも上がるのに、残念な結果となってしまった。最後の仕上げの段階でミスをしてしまった。あまり振り返りたくないくらいだ。次の試合の勝利にランクアップがかかっている。しっかりと臨みたい」
 シオアシ・オットーイオナ主将「フランスにはおめでとう!の言葉を贈りたい。我がチームも頑張った、コーチングスタッフに感謝したい。ミスが多かったのが悔やまれる。応援いただいた多くのファンに感謝し、次の試合に全力を尽くす」
 ──力負けの試合であったように思うが、今までの試合と違っていたのか。ヴィンセント・メレイセア監督
 「確かにフランスには力があった。予選プールでの対イングランド戦に似たゲームだった」
 
    U20フランス代表フィリップ・ボエールコーチ
 「我がチームの選手たちは本当によくやった。称えてあげたい。非常にタフな試合であった、14人の時間帯も強いられたしきつかったと思う。大会も後半戦に入り、ケガ人も多く選手たちは疲れている。次の試合にいかにコンディションを持っていくか、頑張りたい」
 アレクサンドル・ラパンドリ主将「勝ててよかった、相手のサモアチームも称えたい。タフな試合だったが、14人でゴールラインに釘づけになりながら、良く守れた。とにかく最終戦で5位を狙っていきたい」
 ──最終戦、対戦相手のウェールズとは昨年乱闘騒ぎがあり、因縁の対決だが。フィリップ・ボエールコーチ
 「昨年の事は昨年の事。我々はまったくの新しいチームであり、まったく問題はない。ウェールズは春の6ネーションズより、間違いなく良くなって来ている。とにかく、しっかりと戦っていきたい」
 
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